昨今、パーソナルトレーニングの被害事故が増加しているというニュースが散見しています。ここ6年間で約500件、そのうちパーソナルトレーニングが約200件あるそうです。さらにその9割が女性ということです。
個別指導なのになぜ?事故が起きるのか、また増えているのか、最近の筋トレブームが冷めやらぬ中、皆様には一層の注意をして頂きたく存じます
毎年GWから夏前にかけて、いわゆる肌見せの季節に増えるダイエット含めた筋トレ信者達ですが、その効果を求めて個別指導、いわゆるパーソナルトレーニングを求める方も多いようです。依頼される方の多くは初心者が多く、知識がなくとも任せれば安心ということもあるのではないかと思います。
しかし、ここに落とし穴があり、つまり言われた通りに従ってしまった結果、ケガに繋がった事例を多く見受けられます。そのケガの度合いが重いことが多いのに驚きを隠せません。皆さんの多くは我慢をして従った結果、また、我慢できなくてトレーナーに伝えたにも関わらず、頑張ってとか大丈夫とか、平気平気とか言われてそのまま言われた通りにした結果、体に支障をきたすほどのケガを負ってしまったというのがほとんどのようです。
ここで言えることは依頼したあなたに非はありません。間違いなく指導したトレーナーに責任があります。
ではどうするべきなのか?3つお伝えします。
まず1.トレーナーを選ぶこと 2.自分の体の状態を把握しておく 3.無理をしないこと
1.トレーナーに一番大事なのはコミュニケーション力です。いわゆるカウンセリング・ヒアリングが重要です。ここに時間をかけないトレーナーは注意していいと思います。事前診断でどれだけあなたのことを理解しようとしているかが大事なのです。時間が長いからと言って自分の話ばかりしたり、自分論を押し付けてくるのはNGですよ。ヒアリングですから、どれだけあなたの体の状態、特徴、クセ、生活習慣やあなたの希望を時間をかけて聴いてくれるかが一番のポイントで大事です。
トレーナーは特に資格が無くても名乗ることができます。現段階では法で規制もされておりません、確かに技術は大事です。良くネットでは自己紹介欄に輝かしい履歴が並べられていると思いますが、それにあまり踊らされないように注意しましょう。しかしフィットネス界では認められている資格も有ります。有名なのは「NSCA」や「NESTA」などで、もちろん他にもありますし、競技選手として実績のあるプロの方が行っているスクールなどで指導を受けることもあります。いずれにしても取得するには費用が掛かりますし、前者に関しては資格保持の為に更新費用も必要になりますので、それらを名乗っている方はトレーナーとしての自覚がある方だと推測します。競技大会での実績だけを誇示している方は初心者にはお勧めしません。実績があっても自己流なので他人に当てはまるとは限らないからです。技術は素晴らしくても個々に合った指導ができなくては意味がありません、ティーチングではなくコーチングなのです。
また、はっきりさせておきたいのがトレーナーはお医者さんではありません。確かに解剖学や栄養学を学んではいます。また、看護士や療法士出身の方もいらっしゃるでしょう、しかし医師ではありません。個人で見解はできてもそれをクライアントに指示や指導、ましてや直接治療することを原則してはいけません。お医者さんに診断や治療を進めるのが正しい指導です。受ける方もそれは周知しておいてくださいね。医者ではありません、あくまでもトレーナーです。
以上を踏まえた上でトレーナーを選びましょう、依頼のきっかけは、好きな選手やジム専属のトレーナーや口コミからでも良いですが、必ず会って話をして納得したうえで決めましょう、初回無料のところが多いと思います。カウンセリングで違和感を感じたらNGですし、その場でお断りしても何も悪いことはありません。また、トレーニングを始めてから違和感を感じても契約したから断れないなんてことはありません。楽しく続ける為に、自分の為にトレーナーを選びましょう。
2.自分の体の状態を把握しておくことも大事です。カウンセリングの時に返答できるようにしておくことも準備してください。体の可動域などもテストされると思いますが、自分の体の不具合がある箇所や、既往症やアレルギーなどの体質など自分の希望も含めて、恥ずかしさもあると思いますが、隠さず我慢せず正直に伝えることが大事です。伝えなかったことでトレーニングを始めてからトラブルになってしまっては本末転倒です。日頃の自分の生活を学生生活頃の過去から振り返ってみてください。自分でも忘れてたことに気づくことがありますよ。後でカウンセリングの内容を(私の場合ですが)最後にのせておきますので参考にしてみてください。
3.無理をしないことは体を大事にすることの基本です。やる気満々で意欲が高いのは有難いことですが、自分の能力を超えてしまうようなことを要求するのも事故につながりやすいですし、また、我慢したり恥ずかしさから何も言えずにムリをして暗黙に指示に従ってしまうことも事故につながります。常識あるトレーナーなら前者も後者もコントロールしてくれますが、クライアントに言われるがままに乗ってしまったり、ムリをさせることがトレーニングだとする勘違い野郎が今回の事故を多く発生させています。もちろんトレーニングはある程度の負荷を掛けることが必要ですが、掛け方をそれも判断するのがトレーナーです。もし、あなたがトレーニング中に少しでも不安や心配、不満な気持ちが生じたら、その場でトレーナーに話をしてください。惰性でトレーニングを続けないようにして下さい。あらためて伝えますが、パーソナルトレーニングはトレーナーが一方的に行うものではありません、お互いが納得しながら進めていくものです。もちろんメニューや習慣の指導はしますが提案です。効果は双方で積み上げて作っていくものです。お互いが協力して進めていき実感し効果を共有していくからこそ楽しいのです。ここがポイントです。
いかがでしたか?今回はパーソナルトレーニングの事故が急増しているとのニュースから警鐘の意味も含めて考察してみましたが、やはり誰でもトレーニングを始めたらその効果を早く出したいと思う気持ちは分かります。また、せっかく始めるなら自己流でなくちゃんとした指導を受けたいという気持ちも共感します。だからこそ始める前の事前準備としても妥協せず納得するまでトレーナー選びには慎重になりたいものです。あなたのその前向きな意欲を大事にしてください、必ず希望の成果が出せます!私は最後まで応援していますよ!ではまた。
◆最後にカウンセリング参考例を載せておきます。あくまでも私流ですので参考内容ですよ!必要最低限の項目です。それ以外にも現在の推しとか趣味など、お茶しながら雑談するのと同じ感覚でお話しするので気負わず楽に捉えてくださいね。
- 過去の運動歴
- 既往症
- 目標
- 投薬の有無
- 生活環境
- ダイエット歴
- 現在の体組成
- 健康上のお悩み及び体の痛み
- 現在の食事内容
- 活動時間(1日の行動)
- 遺伝的なものの有無
- 女性の方には月経周期、PMSの症状や重さ(トレーニングに影響します)
端的にお聴きするのではなくて、各リストからお話を広げます。例えば・現在の食事内容だったら、好きな食べ物は何ですか?とか、好みの味は?とか、好きなお店とか…です。聴きながらあなたの性格や特性・傾向を把握していきます。
また、ヒアリング以外にもアライメント評価も行います。これは何かというと、
①姿勢の確認 ②関節可動域の確認 として、体のクセや特徴を確認します。
主に、
- 前傾及び前屈
- 回旋運動
- 側屈
- 各関節の可動域範囲
- 腰痛(疼痛)が出るポイント
を目視確認していきます。
以上が最低限行う項目です。トレーナーは聴くのが仕事です、遠慮せずお話しして下さいね。